優しい風の中で手を繋いだあの日に

きっとひとりじゃないから

00023 // 乾いていく砂

サラサラと溢れていく乾いた砂を、

両手ですくい上げて、

何度も何度も。

この砂のように、人間の記憶も、

サラサラと音を立てて、

忘却の彼方に流れていってしまうのかな。

忘れたいことは忘れられないのに、

忘れたくないことがジワジワと消えていく。

何度も、何度も反芻するのに。

何度も、何度も言い聞かせるのに。

 

心に残る記憶が、

いいことばかりならいいのに。

大切なことだけならいいのに。

ガラクタの記憶の山の中から、

必死に鮮やかな色の宝物を探してる。

あなたと過ごした日々のこと。

あなたの感じた痛みや苦しみ。

あなたがわたしにくれたもの。

あなたの失くしてしまったもの。

 

あなたよりずっと、わたしはまだ、

甘えているだけの楽な人生かもしれない。

でも、こうして苦痛で動けなくなった今、

あなたのことを思い出す。

ごめんね、あなたはきっと、

わたしが想像していた以上に、

たくさんの、たくさんの宝物を手放して、

いくつもの大切を諦めて、

体と心の痛みを抱えて、それでも、

前を向いて生きてきたんだね。

 

あなたとの思い出を、必死に探して、

あなたの笑顔を思い出す。

 

生きてるって奇跡だよね。

ずっと死にたいと思ってた。

でも、今は生きていることが嬉しい。

 

あなたの手を思い出して、歯をくいしばるよ。

最後まで、負けたくない。

あなたの人生を、わたしは引き受けると約束したから。

 

溢れた砂を

何度も、何度も。

生きるんだ、と、自分を奮い立たせて、

約束を守るために、

絶対に失くしてはいけない記憶を辿って。

 

Thank you for coming here :)