優しい風の中で手を繋いだあの日に

きっとひとりじゃないから

00016 // その声の向こうに

変わらない、

あなたのやさしさ。

 

最後に黙って消えたわたしは、

あなたのやさしい眼差しを思い出すたび、

胸が痛んだ。

 

忙しく駆け抜ける日々に、

あなたの眼差しを二度と見ることが出来なくなっても、

罪悪感だけは、胸に、ずっと、ずっと。

あの時、たった1%のすれ違いで、

すべてがダメになって、手を放したわたしには、

罪悪感を持つ資格さえないような、気がして。

 

後悔なく生きたい、と思った時、

あなたを探して、やっとあなたに言えた、

ごめんなさい。

あれから十何年経ったのに、

あなたのやさしい声は、

あの時とは違う形で、でも、変わらぬ温もりで。

 

歳をとったよ、体形も変わったよ、

考え方も変わったし、価値観も変わったかもしれない。

キラキラしていた頃のわたししか知らないあなたは、

きっと、今のわたしを見たらがっかりするよ。

 

でも、あの頃と同じ声だよ。

でも、あの頃と同じ喋り方だよ。

何も変わってないよ。

 

その言葉だけで、今まで胸につかえていた罪悪感が、

 

すうっと消えていった。

 

そして、代わりに、わたしが踏みしめている地面が、

しっかりと固く、確固たるものにじんわりと変わった。

 

あなたに会えたことは、悲しみや苦しみの多かった人生の中で、

特別な、貴重な、かけがえのない宝物。

あなたのやさしい声で、わたしはひとつ、心残りをなくすことが、

出来たかな。

 

死ぬ覚悟は出来てる、このボロボロの体で生きるわたしに、

残された命が、あと、どのくらい。

 

笑顔でこの世を去れるように、

ひとつずつ、ひとつずつ。

 

あなたの作った作品は、昔と同じで、美しくて、力強くて、なめらかで。

人は変わる、人は変わり続ける。

同時に、変わらない、変わることが永遠にない何かが、きっとある。

 

Thank you for coming here :)